東京を含め首都圏にある医学部の中で文系でも合格が狙いやすい学士編入を実施する大学をまとめました。
大学卒業後にこれまでの専攻とは異なる学部・学科に編入することを「学士編入」といいます。医学部でも多くの大学で学士編入試験を実施しており、大学卒業後に医学の道を目指す人への門戸を開いています。
この記事では、学士編入試験の概要やメリットについて解説するとともに、東京近郊で医学部編入試験を実施する大学を一覧にまとめてご紹介します。
医学部の学士編入を目指している方や、東京近郊の医学部を志望する受験生の方に役立つ内容となっていますので、ぜひ参考になさってください。
医学部の学士編入試験とは
医学部の学士編入試験とは、これまでに医学以外の学問を専攻してきた学士号取得者(もしくは取得見込み者)を大学の医学部へ編入させるための試験です。
医学部の場合、2年次もしくは3年次への編入がほとんどですが、私立大学では1年次への編入もあります。
編入試験の科目構成
学士編入試験の科目構成は各大学が独自に決めています。大学によって試験科目がそれぞれ異なるため、科目構成は受験する大学を選ぶ際の判断材料になるでしょう。
医学部の学士編入試験で実施される主な科目構成は以下のとおりです。
パターン① | 英語・生命科学 |
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パターン② | 英語・生命科学・物理化学 |
パターン③ | 英語・生命科学・物理化学・数学 |
また、医学部の学士編入試験では1次試験で筆記試験、2次試験で小論文や面接試験を実施するパターンが多くあります。筆記だけでなく、小論文や面接の対策も必要です。
医学部編入試験で重要な「生命科学」とは?
医学部の学士編入試験では、多くの大学で生命科学を科目構成に含んでいます。
生命科学とは、あらゆる生命現象を総合的な視点から研究する学問であり、高校生物が基盤となります。分子細胞生物学を中心に、生化学や生理学、神経科学、免疫学、組織学などから出題されます。
一般入試との違い
一般入試と学士編入試験では、重要科目や小論文・面接のウェイトに大きな違いがあります。
一般入試では英語、数学、理科2科目が二次試験の主な科目構成ですが、学士編入試験は大学によって構成が異なり、小論文や面接も重視されます。
また、国公立大学で必須となるセンター試験は、学士編入試験では必要ありません。
さらに、国公立大学を受験する場合、一般入試では前期・後期で合わせて2校しか受験できません。一方、学士編入試験の日程は各大学で異なるため、日程が重ならなければ何校でも受けられます。
受験するメリット
医学部の学士編入試験を受験するメリットは以下のとおりです。
文系出身でも合格しやすい
医学部の学士編入試験は、大学によって科目構成が異なります。文系出身であれば、主要科目の英語と生命科学のみの構成を選ぶなど、物理・化学や数学を避けるのもひとつの手でしょう。
東京近辺の医学部でいえば、国立の群馬大学は1次試験で小論文Ⅰ・Ⅱ、2次試験で面接と文系出身でも対策しやすい科目構成となっています。
一方、私立の北里大学は1次試験が数学、英語、理科の科目構成となっているため、どちらかといえば理系出身者が有利になると考えられます。
このように、各大学の科目構成を比較し、文系出身でも取り組みやすい構成の大学を目指すことをおすすめします。
ただし、学士編入試験は国公立でも複数の大学の併願が可能です。志望校を増やしたい方や国公立を狙いたい方は、高校の範囲だけでも物理・化学の対策をしておくとよいでしょう。
医学部卒業までの期間を短縮できる
医学部では、1〜4年次で基礎医学や臨床医学を学び、5〜6年次で臨床実習に参加する6年制のカリキュラムが組まれています。そのため、一般試験で医学部を再受験する場合、卒業までには最短で6年かかります。
学士編入で医学部を受験する場合、合格すると2年次もしくは3年次(私立では1年次後期からも)に入学します。卒業までの期間を短縮でき、再受験で入学するよりも早く次の進路に進むことができるのです。
学費の節約につながる
国立の医学部では、入学金282,000円、年間授業料535,800円が標準額となっています。
医学部は6年制のため、すべて合計するとおよそ350万円の学費を用意する必要があります。私立はさらに高額で、6年間で2〜4千万円もの学費がかかります。
医学部の学士編入は2、3年次からの入学となるため、一般入試で1年次から入学するよりも学費を節約できます。
学費以外にも教科書代や後援会費、実験実習費などの諸費用がかかることを考えると、1年でも学費が節約できるのはメリットといえるでしょう。
複数の国公立大学医学部が受験できる
一般入試の場合、国公立大学医学部は前期と後期の2回しか受験チャンスがありません。
いっぽう、学士編入試験は国公立大学でも入試日程が大学によって異なってきます。
したがって、日程が重なければ国公立大学でも併願受験できるのが医学部学士編入の最大のメリット。
受験できる回数が増えれば、合格の可能性も高められます。
東京近郊で編入試験を実施する医学部一覧【2021年度】
東京近郊で医学部医学科の学士編入試験を実施する大学を国公立・私立別に一覧にまとめました。
試験情報は各大学の2021年度医学部編入募集要項から抜粋しています。最新の情報は各大学の公式ホームページをご確認ください。
筑波大学
区分 | 国立 |
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医学部所在地 | 茨城県 |
募集定員 | 5名 |
編入年次 | 2年次 |
1次試験科目 | 学力試験⑴ (英語、数学領域から)、学力試験⑵ (化学、生物学領域から)、 適正試験⑴(筆記)、 適正試験⑵(面接) |
2次試験科目 | なし |
特徴 | 学士号取得者以外も対象 (大学に2年以上在学し 指定の単位を修得した者)、 1次試験のみ、日程に従って指定された各試験をすべて受験する必要がある (ひとつでも受験しなかった場合は選考の対象外) |
群馬大学
区分 | 国立 |
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医学部所在地 | 群馬県 |
募集定員 | 15名 |
編入年次 | 2年次 |
1次試験科目 | 小論文Ⅰ、小論文Ⅱ |
2次試験科目 | 面接試験(1次試験合格者のみ) |
特徴 | 学士号取得者以外も対象 (大学に2年以上在学し 指定の単位を修得した者)、 募集定員の15名はすべて一般枠から(地域医療枠の募集はなし) |
東京医科歯科大学
区分 | 国立 |
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医学部所在地 | 東京都 |
募集定員 | 5名 |
編入年次 | 2年次 |
1次試験科目 | 自然科学総合問題 (英語により出題する場合がある) |
2次試験科目 | 面接試験(1次試験合格者のみ) |
特徴 | 出願期間の初日から起算して 2年以内に受験した TOEFLのスコアがPBT550点以上 またはiBT80点以上の者が対象 (出願時に原本を提出) |
北里大学
区分 | 国立 |
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医学部所在地 | 神奈川県 |
募集定員 | 若干名 |
編入年次 | 1年次(9月) |
1次試験科目 | 数学、英語、理科 |
2次試験科目 | 論文、面接(1次試験合格者のみ) |
特徴 | 数学は一般選抜試験問題の一部、 その他科目と論文は 一般選抜試験問題と同じ、 面接はグループ・個人・両方を複合した形式のいずれかで実施 |
東海大学
区分 | 国立 |
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医学部所在地 | 神奈川県 |
募集定員 | 15名 |
編入年次 | 1年次(10月) |
1次試験科目 | 英語、適正試験 |
2次試験科目 | 個人面接(1次試験合格者のみ) |
特徴 | 学士号取得者以外も対象 (短期大学・高等専門学校・ 専門学校・高等学校専攻科を卒業・修了した者、 大学に2年以上在学し指定の単位を修得した者など) |
まとめ
医学部の学士編入とは、医学以外の学問を専攻した学士号取得者を医学部に編入学させる制度です。
大学によっては学士号取得者以外も対象とし、学歴や年齢はさほど重視されないため、医学を学ぶ志がある方に向けて幅広く門戸が開かれています。
医学部の学士編入試験は、大学ごとに科目構成が異なります。
英語と生命科学は重要科目ですが、物理・化学や数学は構成に入っていない大学も数多くあります。文系出身者であれば、対策がしやすい科目構成の大学を狙うのがおすすめです。
また、東京近郊で医学部の学士編入試験を実施している大学は以下のとおりです。
【国公立大学】
- 筑波大学(2年次編入)
- 群馬大学(2年次編入)
- 東京医科歯科大学(2年次編入)
【私立大学】
- 北里大学(1年次9月編入)
- 東海大学(1年次10月編入)
東京近郊の大学は科目構成のパターンがさまざまで、理系出身者・文系出身者どちらも狙いやすい大学が揃っています。この記事が東京近郊の医学部を受験される方の参考になれば幸いです。